訪問リハで1日欠員が出た場合、月にいくら損失が発生するのか:売上ロスを可視化する計算式と対策
- リハジョブゴー運営事務局

- 5月20日
- 読了時間: 10分

訪問リハビリテーション事業所や、訪問看護ステーションでリハビリテーションを提供している事業所にとって、理学療法士・作業療法士の欠員は、単なる勤務調整の問題ではなく、売上とサービス継続性に直結する経営課題です。訪問系サービスでは、訪問件数がそのまま売上に反映されやすいため、1名の欠員でも予定していた訪問枠が埋まらなければ、当日の売上が失われます。
本記事では、PT/OTが1名・1日稼働できなかった場合に、月次・年次でどの程度の売上ロスが発生するのかを計算式で整理します。あわせて、利用者対応、加算算定、チーム運営への影響を踏まえ、現場で取り得る現実的な対策を解説します。
なお、本記事では便宜上「訪問リハ」と表記しますが、医療機関・介護老人保健施設等から提供される指定訪問リハビリテーションと、訪問看護ステーションから理学療法士等が行う訪問看護の一環としてのリハビリテーションでは、制度上の位置づけや算定要件が異なります。実際の運用では、自事業所のサービス類型、保険種別、自治体・審査機関の解釈を必ず確認してください。
1. 訪問リハの売上構造を整理する
訪問リハ領域の売上は、主に「1件あたりの単価」「1日あたりの訪問件数」「月間稼働日数」で決まります。介護保険の指定訪問リハビリテーションでは、1回20分以上を単位として報酬が設定され、週あたりの算定回数にも上限があります。また、厚生労働省資料では、訪問リハビリテーション事業所における主なサービス提供時間は40分が多いことも示されています。
実務上の概算としては、次のように考えると管理しやすくなります。
項目 | 概算の目安 | 補足 |
1件あたり訪問売上 | 約3,800〜7,000円 | 保険種別、訪問時間、加算、自己負担・公費等により変動します。 |
PT/OT 1名あたりの1日訪問件数 | 6〜8件 | 移動距離が短い都市部では多く、移動範囲が広い地域では少なくなる傾向があります。 |
月間稼働日数 | 20日前後 | 土日祝稼働の有無や勤務形態によって変動します。 |
1名あたり月間売上 | 約70万〜100万円 | 単価・件数・稼働日数を掛け合わせた概算です。 |
たとえば、1件あたりの売上を5,800円、1日7件、月20日稼働とすると、PT/OT 1名が生み出す月間売上は次のように計算できます。
7件/日 × 5,800円 × 20日 = 812,000円
つまり、PT/OT 1名の稼働は、月間で約80万円規模の売上に相当します。欠員が発生すると、この売上の一部または全部が失われる可能性があります。
2. 「1日欠員」が月次・年次でどの程度の損失になるか
欠員による影響は、当日の売上ロスだけでは終わりません。利用者への訪問延期、ケアマネジャーへの説明、代替訪問の調整、他事業所への流出リスクなど、間接的な損失も発生します。まずは、売上面の一次損失を計算します。
ケース1:1日だけ終日欠員が出た場合
1日7件、1件5,800円で予定していた場合、1日の売上損失は次のとおりです。
7件 × 5,800円 = 40,600円
月に1日だけの欠員であっても、年間では約49万円の売上機会を失う計算になります。月3日の欠員が季節的に発生する場合、年間では約146万円の売上ロスになります。
欠員日数 | 1か月あたりの損失 | 年間換算 |
月1日 | 約4.1万円 | 約49万円 |
月2日 | 約8.1万円 | 約97万円 |
月3日 | 約12.2万円 | 約146万円 |
ケース2:1週間の欠員が発生した場合
急病、家庭事情、退職前の有給消化などにより、1週間単位で稼働できないケースもあります。5営業日欠員が続くと、単純計算で次の損失になります。
40,600円/日 × 5日 = 203,000円
さらに、予定していた訪問を継続できない場合、利用者や家族の不安、ケアマネジャーからの信頼低下、他事業所への依頼変更につながる可能性があります。この場合、復帰後に訪問枠が元どおりに戻らず、数か月単位の二次損失が発生することがあります。
ケース3:1名分の稼働が1か月空いた場合
PT/OT 1名分の稼働が1か月空くと、前述の計算では約81万円の月間売上が失われます。家賃、管理部門費、人件費の一部などの固定費は大きく変わらないため、営業利益への影響は売上減少以上に大きくなる点に注意が必要です。
このように、欠員は「人手が足りない」という現場の困りごとにとどまりません。訪問系サービスでは、欠員は訪問枠の消失、売上機会の逸失、利用者継続率の低下という形で経営に影響します。
3. 売上だけでなく、加算算定や人員体制にも影響する
欠員の影響で見落とされやすいのが、加算算定や人員体制への波及です。訪問リハビリテーションでは、リハビリテーション計画、リハビリテーション会議、医師の関与、PT/OT/STによる説明、サービス提供体制などが加算要件に関係します。厚生労働省資料でも、リハビリテーションマネジメント加算やサービス提供体制強化加算など、提供体制と質管理に関する加算が示されています。
関連領域 | 欠員による主な影響 | 管理者が確認すべき点 |
訪問枠 | 予定訪問を実施できない | 代替訪問、振替、キャンセル扱いの基準 |
計画・記録 | 計画見直しや記録作成が遅れる | 担当者変更時の情報共有、記録期限 |
加算算定 | 算定に必要な体制・プロセスが維持しにくくなる | 算定要件、説明・会議・記録の実施状況 |
訪問看護ステーション運営 | 看護職員との役割分担や提供バランスに影響する | 看護業務の一環としてのリハ提供であることの整理 |
特に、訪問看護ステーションからPT/OT/STが訪問する場合は、リハビリテーションが訪問看護の一環として提供される点を踏まえる必要があります。単に「PTの訪問件数を維持する」だけではなく、看護職員との情報共有、利用者の状態把握、主治医・ケアマネジャーとの連携を含めて、サービスの質を維持することが重要です。
4. 欠員の典型パターンと損失規模
欠員は突発的に発生するものだけではありません。病欠、産休・育休、退職、介護休暇、長期休暇など、一定程度予測できるものもあります。管理者は、欠員を「例外的なトラブル」ではなく、毎年起こり得る運営リスクとして管理する必要があります。
欠員パターン | 発生しやすい場面 | 想定期間 | 想定される売上影響 |
病欠・感染症 | 風邪、インフルエンザ、新型感染症など | 1〜5日 | 約4万〜20万円 |
産休・育休 | 出産前後、育児休業取得時 | 数か月〜1年以上 | 数百万円規模 |
急な退職 | 退職申出後の有給消化、採用難航 | 1〜3か月 | 約80万〜240万円 |
介護休暇・忌引 | 家族事情、弔事 | 数日 | 約4万〜20万円 |
長期休暇・繁忙期 | 夏季休暇、年末年始、年度替わり | 数日〜2週間 | 約20万〜80万円 |

重要なのは、欠員そのものを完全になくすことではありません。現実的には、欠員は必ず発生します。したがって、管理者が考えるべきなのは、欠員が発生しても訪問枠と利用者対応を維持できる仕組みを事前に持っておくことです。
5. 現実的な3つの対策
欠員対策は、内部調整だけで完結させようとすると、既存スタッフへの負担が過度に集中しやすくなります。一方で、外部人材だけに依存すると、利用者情報の共有やサービスの継続性に課題が生じます。実務上は、内部調整と外部リソースを組み合わせた階層的な運用が有効です。
対策1:スポット採用で短期欠員を補う
1日または半日単位でPT/OTを確保できる仕組みがあると、急な病欠や休暇による訪問枠の欠損を補いやすくなります。たとえば、1日あたりの売上が約4万円で、スポット人材の活用コストが2万円台であれば、売上ロスを抑えながら利用者対応を継続できます。
ただし、スポット人材を活用する際は、初回から単独訪問を前提にするのではなく、利用者情報、禁忌事項、リスク管理、緊急連絡体制を事前に共有しておく必要があります。リピートして依頼できる人材を確保できると、同行や説明にかかる時間も抑えやすくなります。
対策2:派遣・人材紹介で中長期欠員に対応する
産休・育休、長期療養、退職による欠員など、数か月単位で稼働不足が見込まれる場合は、派遣や人材紹介の活用が選択肢になります。スポット採用よりも契約手続きや費用は重くなりやすい一方で、一定期間の稼働を安定的に確保できる点が利点です。
ただし、即日対応が難しい場合や、契約期間・勤務条件に制約がある場合もあります。そのため、急な欠員にはスポット採用で初動対応し、欠員期間が長期化する見込みが立った段階で派遣・採用活動へ移行する運用が現実的です。
対策3:チーム内で訪問枠を柔軟に再配分する
軽度の欠員であれば、チーム内で1人あたり1〜2件ずつ訪問を再配分することで、訪問キャンセルを最小化できる場合があります。そのためには、月初の時点で各スタッフの稼働率、移動時間、担当利用者数、空き枠を可視化しておくことが重要です。
一方で、内部吸収には限界があります。過度な振り替えは残業増加、記録遅延、スタッフ満足度の低下につながります。労働時間管理や36協定の範囲を確認しながら、無理のない範囲で運用する必要があります。
実務的には、次のような階層運用をあらかじめ定めておくと判断がぶれにくくなります。
欠員期間 | 推奨される対応 | 目的 |
1〜2日 | スポット採用またはチーム内再配分 | 当日の訪問キャンセルを最小化する |
3日〜3週間 | スポット採用と内部調整を併用 | 利用者継続率とスタッフ負担のバランスを取る |
1か月以上 | 派遣・採用活動・担当再編を組み合わせる | 中長期の稼働体制を再構築する |

6. スポット採用を訪問リハで活用する際のチェックポイント
スポット採用を有効に機能させるには、単に人員を確保するだけでは不十分です。訪問リハでは、利用者ごとの疾患、生活環境、転倒リスク、禁忌事項、家族対応、主治医・ケアマネジャーとの連携状況を踏まえた対応が求められます。
チェック項目 | 確認内容 | 実務上のポイント |
同行訪問の要否 | 初回訪問で常勤スタッフの同行が必要か | 高リスク利用者や環境調整が複雑なケースは同行を検討します。 |
移動手段 | 車両、自転車、公共交通機関のいずれを使うか | 訪問エリアと駐車場の有無を事前に共有します。 |
利用者情報 | 疾患、ADL、禁忌、リスク、目標、家族対応 | サマリーや直近記録を事前に確認できる状態にします。 |
連絡体制 | 緊急時の連絡先、管理者、看護職員、主治医 | 判断に迷う場面で単独判断にならない仕組みを作ります。 |
事前説明 | 利用者、家族、ケアマネジャーへの案内 | 「本日は代替スタッフが訪問する」ことを事前に伝えます。 |
これらの準備が整っていれば、スポット人材であっても、訪問件数の維持だけでなく、利用者満足度の低下を抑えやすくなります。
7. よくある質問
Q. スポットのPT/OTが入ると、利用者満足度は下がりませんか。
A. 短期間で担当者が頻繁に変わると、利用者や家族が不安を感じる可能性があります。そのため、スポット人材は常勤スタッフの代替ではなく、欠員時に訪問枠を守るための補完的な役割として活用するのが基本です。可能であれば、同じ人材に継続して依頼し、利用者情報を蓄積できる体制を作るとよいでしょう。
Q. スポット採用したPT/OTを常勤換算に含められますか。
A. 契約形態、雇用形態、勤務時間、サービス類型によって扱いが異なります。直接雇用で勤務実態が明確な場合は、勤務時間に応じて常勤換算に含められる可能性がありますが、派遣・業務委託・紹介形態では確認が必要です。加算算定や人員基準に関わるため、必ず最新の通知、指定権者、顧問社労士・行政書士等に確認してください。
Q. スポットPT/OTの予算はどの程度見込むべきですか。
A. まずは、過去1年間の病欠、休暇、退職、産休・育休による欠員日数を集計し、1日あたりの売上損失を掛け合わせて上限予算を設定します。たとえば、年間20日の欠員が見込まれ、1日あたり4万円の売上ロスがある場合、年間80万円の機会損失が発生します。この範囲内でスポット採用費を設計すれば、投資対効果を判断しやすくなります。
8. まとめ:欠員を「売上とサービス継続性のリスク」として管理する
訪問リハ領域における欠員は、単なる
人員不足ではありません。訪問件数が売上に直結する事業構造では、PT/OT 1名の欠員が、当日の売上、利用者継続率、ケアマネジャーからの信頼、加算算定の安定性にまで影響します。
したがって、管理者は「欠員が出たらその都度調整する」のではなく、欠員が出る前提で、内部調整・スポット採用・派遣・採用活動を組み合わせた運用ルールを事前に整備することが重要です。月数万円の外部人材活用コストで、数十万円規模の売上ロスや利用者流出を防げるのであれば、それは単なる人件費ではなく、事業継続のための投資といえます。
「採用できるまで待つ」状態を減らし、必要な訪問を止めない体制を持つことが、訪問リハ事業の安定運営につながります。
訪問リハの売上を守る、PT/OTスポット採用なら ─ リハジョブゴー。
半日・1日単位で稼働。初期費用ゼロ・成果報酬型。




コメント