整形外科クリニックの繁忙期にPT/OTが不足する際の院長が取るべき3つの戦略
- リハジョブゴー運営事務局

- 5月23日
- 読了時間: 7分

整形外科クリニックの院長にとって、繁忙期における理学療法士(PT)や作業療法士(OT)の不足は、リハビリテーション(リハビリ)待ち時間の長期化を招く典型的な経営課題の一つです。これは患者満足度の低下、ひいてはクリニックの評判悪化や患者数減少に直結する重要な問題ですが、単に常勤スタッフを増員するだけではコスト面での課題が生じます。
本記事では、繁忙期のPT/OT不足に対し、院長が現実的に取り得る3つの戦略を、それぞれのコスト、導入の容易さ、効果発現までの期間を考慮して整理します。
1. 整形外科クリニックの繁忙期に生じる課題
整形外科クリニックの繁忙期は、地域性や診療内容によって異なりますが、一般的なパターンは以下の通りです。
季節的要因
•冬季(11月〜2月): スキー外傷、転倒による骨折、冷えによる肩・腰痛の悪化など。
•春先(3月〜5月): 新年度のスポーツ活動開始に伴う外傷増加、花粉症による咳が原因の首・肩痛など。
•夏季(7月〜8月): 夏季スポーツ外傷、エアコンによる冷えが原因の肩痛など。
•秋季(9月〜10月): 運動会やスポーツ大会後の外傷など。
構造的要因
•保険診療上の単位数制限: PT/OT 1人あたりの1日あたりの標準的なリハビリテーション提供単位数は18単位(20分=1単位)が上限とされています。これは実質的に約6時間のリハビリ提供時間に相当します。
•回転率とのトレードオフ: 1人20分のリハビリ枠を最大限に埋めると、新規患者の受け入れ余地が減少します。
•書類業務時間: カルテ記載、診療情報提供書、主治医意見書などの書類作成に、1日あたり2〜3単位分の時間を要することがあります。
繁忙期には、「人員不足」と「リハビリテーション提供単位数の上限到達」が同時に発生するため、現場の負担感は数字以上に大きくなります。
2. 院長が取るべき3つの戦略
戦略①: 現有スタッフの生産性最大化と業務効率化
•コスト: ほぼゼロ
•効果発現まで: 1〜2週間
•改善幅: 5〜15%
最初に取り組むべきは、現有スタッフの生産性を向上させることです。
•書類業務の時間集中化: 書類作成はリハビリ業務終了後の特定時間帯に集約するか、別スタッフが下書きを準備するなどして、PT/OTがリハビリに専念できる時間を確保します。
•物理療法との組み合わせ最適化: 電気療法や牽引療法などの物理療法と運動療法を1人の患者に対して組み合わせることで、PT/OTが直接関与する時間を効率的に活用します。
•予約枠の柔軟な運用: 患者の状態に応じて、30分・40分のリハビリ枠を20分・40分に調整するなど、予約枠を柔軟に運用します。
•ノーショー対策: 前日リマインドSMSなどを活用し、キャンセル率を5〜8%から3%以下に低減させます。
これらの対策により、月間の総リハビリテーション提供単位数を1割前後向上させることが可能です。
戦略②: 繁忙日におけるスポットPT/OTの活用
•コスト: 1日あたり17,000〜24,000円
•効果発現まで: 数日〜1週間
•改善幅: 20〜40%(当該日のリハビリ提供枠数)
繁忙期にのみ常勤スタッフを増員することはコスト的に見合わないという課題に対する、新たな解決策です。
•PT/OTのスポット採用マッチングサービス(例: リハジョブゴー)を活用します。
•特に繁忙が見込まれる日(月曜日や週末前など)に、月に4〜8日程度、スポットで1名のPT/OTを追加配置します。
•1日でPTが18単位を提供した場合、仮に1単位あたり5,000円(自費・保険診療込みの平均基準試算)とすると、約9万円の追加売上が見込めます。これに対し、スポット採用コストが2万円台であれば、1日あたり6〜7万円の粗利増加効果が期待できます。
「繁忙日だけ機動的に人員を増強できる」という選択肢を持つことで、月間の売上構造を大きく改善できます。
戦略③: 求人広告による常勤・パートPT/OTの採用
•コスト: 広告費10〜30万円 + 採用後の人件費
•効果発現まで: 2〜3ヶ月
•改善幅: 30〜80%
中長期的には、常勤またはパートの増員が不可欠です。
•Indeed、ジョブメドレー、PTOTキャリアナビなどの求人媒体を活用します。
•整形外科経験のあるPT/OTは、特に首都圏では応募率が5%以下と採用難易度が高い傾向にあります。
•採用後の人件費は、常勤PTで年500〜650万円(初年度)、パートPTで時給2,200〜2,800円程度が目安となります。
これは短期的な人員不足を解消する手段ではないため、戦略①および②と並行して進めることが原則です。
3. 3つの戦略の組み合わせモデル(月次)
期間 | 主なアクション | 期待される効果 |
1週間目 | 現有スタッフの生産性最大化(戦略①) | 5〜10%のリハビリ提供単位数増加 |
第2週〜 | 繁忙日におけるスポットPT/OTの活用(戦略②、月4日稼働の場合) | 1日あたり粗利6万円 × 4日 = 24万円の追加効果 |
1〜3ヶ月目 | 求人広告掲載(戦略③) | 中長期的な人員体制の構築 |
この組み合わせにより、3ヶ月後に常勤スタッフが採用できなかったとしても、戦略①と②で繁忙期を乗り切れるサイクルを構築できます。

4. 「リハビリ待ち」がクリニック経営に与える影響
PT/OT不足によりリハビリ予約が2週間先まで埋まる状況は、単に患者の不便にとどまりません。
•新規患者の獲得機会損失: 「待ち時間が長いから他院へ」という患者の声は数値化しにくいものの、確実に存在します。
•既存患者の離脱: 途中でリハビリを中断する患者が増加し、リハビリテーション加算の継続評価に影響を与える可能性があります。
•レビュー・Google評価への影響: 「予約が取れない」という不満は、クリニックの星評価を低下させる典型的な理由の一つです。
•保険診療の機会損失: PT/OT 1名が1日不足することで、約3〜4万円の売上機会が失われます。
「リハビリ待ちが長い=リハビリテーション専門クリニックとしてのブランド毀損」という認識を持ち、繁忙期への投資意思決定に目を向けるべきです。
5. スポットPT/OTを整形外科で活用する際の5つの実務ポイント
整形外科クリニックでスポットPT/OTを効果的に活用するためには、以下の実務ポイントを押さえることが重要です。
•整形外科経験のあるPT/OTを指名: 疾患別の評価や運動療法に習熟していることが重要です。マッチングサービスで経験分野によるフィルター機能があれば活用しましょう。
•業務範囲の事前明確化: 外来リハビリのみか、訪問リハビリを含むか、書類業務の有無などを事前に明確に伝えます。
•物理療法機器の操作説明: 1ページ程度の操作ガイドを用意し、初日の説明時間を短縮します。
•電子カルテのアクセス権: 閲覧および記録の権限を、初日朝に速やかに発行できる体制を整えます。
•指示医・看護師との橋渡し役: 常勤PTの1名を「スポット受け入れ担当」として指定し、円滑な連携をサポートします。
これらの準備を整えることで、スポットPT/OTが初日から円滑に業務を開始し、リハビリ提供体制を維持することが可能になります。

6. よくある質問
Q. 院長単独の意思決定で導入できますか?
A. クリニック経営では院長単独での意思決定が多いですが、スポット採用サービスの中には、契約から最短数日で利用開始できるものもあります。そのため、トライアル導入のハードルは比較的低いと言えます。
Q. スポットPT/OTのリハビリテーション加算算定は可能ですか?
A. 直接雇用型のスポット採用の場合、保険診療上のPT/OT人員配置として算定要件を満たす可能性が高いですが、各加算の具体的な要件は必ず個別に確認が必要です。派遣や業務委託契約の場合は、算定の可否が異なるため、事前に指定権者や顧問社労士・行政書士等に確認してください。
Q. 整形外科経験のないPT/OTが来た場合はどうすればよいですか?
A. 多くのスポット採用サービスでは、経験分野で人材を絞り込むフィルター機能が提供されています。確実なリハビリテーション提供のためには、経験要件を事前に指定し、品質を確保することが重要です。
7. まとめ: 「常勤増員」だけでは解決できない繁忙期のPT/OT不足
整形外科クリニックの繁忙期におけるPT/OT不足は、常勤増員以外の選択肢を組み合わせることで大きく改善されます。
•戦略①(現有スタッフの最適化)は、明日からでもノーコストで開始できます。
•戦略②(スポット採用)は、1〜2週間で導入可能であり、繁忙日の売上構造を改善します。
•戦略③(求人広告)は、中長期的な人員体制を強化します。
これら3つの戦略を並行して進めることで、コストを抑えながら患者満足度を維持し、安定したクリニック経営が可能になります。
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