回復期リハ病棟職員配置基準を整理 ─ 常勤PT/OTとスポット採用の併用可能性
- リハジョブゴー運営事務局

- 1 日前
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回復期リハビリテーション病棟は、診療報酬の入院料区分が人員配置と実績で決まる、極めて構造的な収益事業です。PT/OT/STの常勤換算が要件を割ると、入院料の区分ダウンが発生し、月数百万円規模の収益減につながります。
本記事では2026年6月1日施行の診療報酬改定を踏まえ、人員配置基準の概要を整理し、スポット採用・派遣を含めた人材確保戦略の打ち手を解説します。
1. 回復期リハ病棟入院料の区分と人員要件 (2026年6月時点)
2026年度診療報酬改定により、回復期リハ病棟入院料の評価体系及び施設基準が見直されました。入院料は全ての区分で増点され、特に質の高いリハビリテーションを提供する病棟を評価する「回復期リハビリテーション強化体制加算」が新設されています。
入院料区分と1日入院料イメージ
入院料区分 | 主な要件特徴 | 1日入院料イメージ (改定後) |
回復期リハ病棟入院料1 | 最も厳しい人員・実績要件 | 2,346点 (+117点) |
回復期リハ病棟入院料2 | 1より緩和、実績要件あり | 2,274点 (+108点) |
回復期リハ病棟入院料3 | 中位 | 2,062点 (+145点) |
回復期リハ病棟入院料4 | 入門〜中位 | 2,000点 (+141点) |
回復期リハ病棟入院料5 | 入門〜中位 | 1,794点 (+98点) |
回復期リハビリテーション入院医療管理料 | 入門〜中位 | 1,960点 (+61点) |
回復期リハビリテーション強化体制加算 (新設) | 入院料1に加算、実績指数48以上など | 80点/日 [1] |
各区分には、概ね以下の人員要件があります (主要なもの):
•医師 (専従または専任)
•看護職員配置 (7対1〜13対1相当)
•看護補助者
•PT 3名以上 (区分により異なる)
•OT 2名以上 (区分により異なる)
•ST 1名以上 (区分により異なる)
•社会福祉士・在宅復帰支援担当者 (入院料1・2では専従の社会福祉士等が要件に追加)
加えて、実績指数 (在宅復帰率、リハ実績、重症患者割合等) が区分維持に必要です。
2. 人員配置で起きる典型的な経営リスク
•リスク① 常勤PT/OT/ST退職による配置要件割れ
•1名退職 → 後任採用までの2〜3ヶ月で常勤換算が要件を下回る
•入院料区分ダウン: 月100〜300万円規模の収益減 (病棟規模による)
•区分維持を諦めた場合、長期で見ると年間1,000万円超の影響
•リスク② 研究日・学会・育休による稼働低下
•PT/OTが研究日や学会出席で稼働が落ちる時期、実績指数に影響
•産休・育休取得者が複数重なると配置要件にも影響
•リスク③ 専従要件と他業務の両立
•リハ病棟専従PT/OTが外来・他病棟業務に駆り出されると専従要件抵触
•専従と兼務の労務管理が複雑化
回復期病棟の3大経営リスクと連鎖

3. 人材確保の3つの戦略
•戦略①: 常勤の段階的増員 (中長期)
•求人広告 (医療系専門媒体・人材紹介) で常勤PT/OT/STを採用
•人材紹介手数料: 1名60〜150万円 (年収の30〜35%)
•採用期間: 3〜6ヶ月
•安定の本筋
•戦略②: 人材紹介の活用 (中期)
•PT/OT人材紹介: 1名月60〜85万円
•産休カバー・育休復帰待ちの中期 (3〜12ヶ月) で活用
•派遣スタッフの常勤換算・専従要件への扱いは契約形態により確認必要
•戦略③: スポット採用の活用 (短期・柔軟性)
•PT/OTを1日・半日単位で呼ぶサービス (リハジョブゴー等)
•短期欠員カバー、研究日・学会期間のカバー、繁忙期増員に有効
•直接雇用形態のため、勤務時間内は常勤換算の組み立てに使えるケースあり (要要件確認)
回復期リハ病棟では、3つの戦略を組み合わせることで配置要件と実績指数の両方を維持できます。
4. スポット採用が回復期リハで活きる5つのシーン
•シーン①: 常勤PTの研究日・学会期間カバー
•学会出席で1〜3日不在となる期間、スポットPTで稼働カバー
•研究日 (月2〜4日) のリハ実績数を維持
•シーン②: 産休前後の業務カバー
•産休直前の体調配慮期間、復帰直後の段階的稼働を補完
•育休取得しやすい職場づくりにもつながる
•シーン③: 夏季・年末年始の連休カバー
•病棟稼働が続くなか、PT/OTの連休取得を可能にする
•結果として既存スタッフの離職防止に寄与
•シーン④: 急な退職発生時の即日対応
•求人広告稼働までの2〜3ヶ月、スポットPTで業務継続
•配置要件の急落を防ぐ
•土日のリハ提供で実績指数向上
•常勤の週休日にスポットPTで対応
回復期リハでスポット採用が活きる5シーン

5. 病院でスポット採用を導入する際の実務ポイント
•受け入れ体制
•入棟・退棟処理を含む電子カルテのアクセス権設定
•病棟ナースステーションでの初日30分のオリエンテーション
•PT/OT室の施設利用ルール説明
•物理療法機器・運動器具の使用方法ガイド
•業務範囲の明確化
•PT/OTの専門領域に応じた患者割り当て
•担当看護師との情報共有プロトコル
•リハカンファレンス参加の要否
•コスト管理
•1日17,000〜24,000円が目安 (報酬+手数料)
•月10日 (常勤1名分相当) の場合: 月17〜24万円
•派遣の半額以下、雇用契約上の負荷もなし
6. 人員配置の中期計画 ─ バッファ設計
回復期リハ病棟では、「ギリギリの人員配置」での運営は事業リスクが高すぎます。中期的には以下のバッファ設計が必要です。
•常勤換算で要件+0.5〜1.0名分の余裕を持つ
•スポット採用予算を月25〜50万円規模で確保
•法人内他病棟・関連施設からの応援契約の枠組み整備
•退職予兆を把握する1on1面談の定期化
「人員配置の余裕」=「事業の余裕」です。
7. 入院料区分維持のための実績指数管理
人員配置だけでなく、実績指数の維持も並行して必要です。2026年度改定では、リハビリテーション実績指数が引き上げられ、入院料4にも新たに基準が設定されました 。また、実績指数算出時の除外基準も変更されています 。
リハビリテーション実績指数 (改定後)
区分 | 改定後基準 |
入院料1・2 | 42以上 (+2) |
入院料3 | 37以上 (+2) |
入院料4 | 32以上 (新設) |
強化体制加算 | 48以上 (新設) |
実績指数算出時の除外基準の変更
除外要件 | 改定前 | 改定後 |
年齢による除外 | 80歳以上の患者を除外可 | 廃止 (除外不可) |
認知症患者の除外 | FIM認知項目24点以下を除外可 | 14点以下に変更 (除外対象が縮小) |
•在宅復帰率の月次モニタリング
•重症患者割合の維持 (入棟時FIM・運動機能評価)
•重症患者の基準見直し: FIM得点「21点以上55点以下」に変更。高次脳機能障害・脊髄損傷が対象に追加 。
•重症患者の新規受入割合基準: 全ての区分で5ポイント緩和 。
•重症患者のFIM改善割合要件: 削除 。
•リハ実施単位数の最大化 (PT/OT/STの稼働効率)
•土曜・休日を含む全日のリハ提供体制が、入院料1〜4で要件化。入院料1・2の休日1日当たり提供単位数は平均3単位以上に引き上げ 。
•リハ実績指数の年間推移グラフ化
実績指数が落ちると、人員が揃っていても入院料区分が下がります。
8. よくある質問
Q. スポットPT/OTを常勤換算にカウントできるか?
A. 直接雇用形態であれば、勤務時間に応じて常勤換算に含められる可能性があります。各入院料区分の人員要件と契約形態の整合を必ず確認してください。
Q. 大規模病院でスポット採用を導入する際の決裁プロセスは?
A. 部長承認→事務局審査→経営会議の流れが一般的で、1〜3ヶ月かかります。トライアル導入 (まず1ヶ月単位) から始めるのが現実的です。
Q. リハ部長が学会出席する週のカバーで現場の反応は?
A. スポットPTがベテランPT/OTであれば、現場の負荷軽減効果は高く評価されるケースが多いです。経験年数や経験分野指定でマッチングするのがコツです。
Q. 退院前訪問指導料はどのように変わったか?
A. 回復期リハビリテーション病棟入院料を算定する患者について、退院前訪問指導料が出来高で算定できるようになりました。入院後早期に必要と認められる場合は2回算定可能です 。
9. まとめ ─ 「常勤+スポット」の2層運用
回復期リハ病棟の人員配置は、もはや常勤雇用だけでは維持が困難な水準になっています。2026年度診療報酬改定により、より質の高いリハビリテーション提供体制が求められる中、人材確保の多様な戦略が重要性を増しています。
•常勤: 事業の軸
•スポット: 短期・突発・繁忙のバッファ
この2層運用で、入院料区分と実績指数を中長期的に守る経営が、回復期リハの新常識になりつつあります。
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