個別機能訓練加算Ⅰ・Ⅱ徹底比較 ─ 通所介護で取れる加算の選び方
- リハジョブゴー運営事務局

- 6 日前
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個別機能訓練加算Ⅰイ・Ⅰロ・Ⅱの徹底比較
通所介護(デイサービス)の主要な収益源の一つである「個別機能訓練加算」は、2024年度介護報酬改定を経て、2026年度現在Ⅰ(イ・ロ)、Ⅱの3区分で運用されています。各区分の要件と点数の組み合わせを適切に理解しない場合、年間数百万円規模の収益差が生じる可能性があります。令和8年度(2026年度)介護報酬改定では、個別機能訓練加算自体の単位数に直接的な変更はありませんが、処遇改善加算の再編など、介護事業所全体の運営に影響を与える重要な変更が含まれています。これらの動向も踏まえ、自施設に最適な加算選択の判断軸を整理することが重要です。 本記事では各区分の要件・点数・運用負荷を比較し、自施設に最適な加算選択の判断軸を整理します。
1. 個別機能訓練加算の全体像(令和6年度(2024年度)改定後)
通所介護における個別機能訓練加算の体系は、概ね以下の通りです。
区分 | 単位/日(月) | 主な配置要件 | LIFE提出 | 備考 |
個別機能訓練加算Ⅰイ | 56単位/日 | 機能訓練指導員1名以上(専従) | 不要 | |
個別機能訓練加算Ⅰロ | 76単位/日 | 機能訓練指導員2名以上(専従) | 不要 | 2024年度改定で85単位から引き下げ |
個別機能訓練加算Ⅱ | 20単位/月 | Ⅰの要件+LIFEへのデータ提出・活用 | 必須 |
【 機能訓練指導員】理学療法士、作業療法士、言語聴覚士、看護職員、柔道整復師、あん摩マッサージ指圧師、はり師、きゅう師(条件付き)、一定の経験を有する看護職員等が該当します。
ⅠとⅡは併算定が可能であり、両方を算定することが収益最大化の基本戦略となります。
2. 個別機能訓練加算Ⅰイ ─ 安定的な収益確保のベースライン
主な要件
•機能訓練指導員1名以上の専従配置(専従時間帯あり)
•個別機能訓練計画書の作成、実施、評価
•3ヶ月ごとの計画見直し
•計画の利用者・家族への説明と同意
単位数イメージ
•1日あたり56単位 ≒ 約560円/利用者・日
•利用者30名 × 20日稼働 = 月額約33万円
運用上のポイント
•機能訓練指導員は必ずしも理学療法士(PT)や作業療法士(OT)である必要はなく、看護師、柔道整復師、あん摩マッサージ指圧師等での代替も可能です。
•個別機能訓練計画書の質と適切な更新サイクルが、加算算定継続の鍵となります。
•専従要件は「同時間帯に機能訓練業務に専従」を意味し、他の業務との兼務には注意が必要です。
3. 個別機能訓練加算Ⅰロ ─ 人員配置の強化による単位数アップ
主な要件
•機能訓練指導員2名以上の専従配置
•その他は個別機能訓練加算Ⅰイと同様
単位数イメージ
•1日あたり76単位 ≒ 約760円/利用者・日
•利用者30名 × 20日稼働 = 月額約45万円
ⅠイからⅠロへの移行判断軸
•月額12万円の収益増加に対して、追加の人件費(機能訓練指導員2人目の採用コスト:年額400〜600万円)が見合うかを検討する必要があります。
•利用者数が30名を超える安定した施設では、収益的なメリットが出やすい傾向にあります。
•利用者数が少ない施設(20名未満)では、Ⅰロへの移行は人件費負担が大きくなるケースがあるため、慎重な判断が求められます。
4. 個別機能訓練加算Ⅱ ─ LIFE活用による上乗せ加算
主な要件
•個別機能訓練加算Ⅰ(イまたはロ)を算定していること
•厚生労働省のLIFE(科学的介護情報システム)への利用者データ提出(月次)
•LIFEからのフィードバック情報を個別機能訓練計画に反映
•計画書様式を所定の形式で記載
単位数イメージ
•月あたり20単位 ≒ 月額約200円/利用者
•利用者30名の場合 = 月額6,000円(ⅠイまたはⅠロに月額6,000円の追加)
運用上のポイント
•LIFEデータ入力は、原則として月初5営業日以内が目安とされています。
•提出が漏れた月は算定不可となるため、月次の運用徹底が必須です。
•利用者のバイタル、ADL(日常生活動作)、栄養状態などのデータ取得体制を整備する必要があります。
•個別機能訓練加算Ⅱは単価インパクトは小さいものの、「データ提出体制を作る」という事業上の意味が大きい加算です。LIFE運用を整えること自体が、令和8年度(2026年度)介護報酬改定で処遇改善加算の上位区分(Ⅰロ・Ⅱロ)の要件として生産性向上(ICT活用等)が重視されるなど、今後の他加算でも要件化されていく流れにあります。
5. 加算選択の判断フレームワーク
ステップ1: 現在の状況確認
•機能訓練指導員の常勤換算人数は何名か?
•理学療法士・作業療法士以外で機能訓練指導員を担える人材はいるか?
•LIFE運用に必要なデータ収集インフラは整備されているか?
ステップ2: 収益機会の試算
パターン | 月次加算収益 | 年間加算収益 |
① 未算定 | 0円 | 0円 |
② Ⅰイのみ | 約33万円 | 約396万円 |
③ Ⅰイ + Ⅱ | 約34万円 | 約408万円 |
④ Ⅰロのみ | 約45万円 | 約540万円 |
⑤ Ⅰロ + Ⅱ | 約46万円 | 約552万円 |
未算定からⅠイ + Ⅱへの移行で、利用者30名規模の施設では年間約400万円の収益増が見込めます。
ステップ3: コストとの比較
•機能訓練指導員1名追加雇用コスト:年額400〜600万円
•LIFE運用体制構築コスト:年額30〜60万円(システム導入費 + 業務時間)
•計画書・記録の体制整備コスト:年額20〜40万円
個別機能訓練加算Ⅰイ + Ⅱで年間400万円超の収益増が見込める一方で、Ⅰロへのアップグレードには年間400〜600万円の追加コストが発生します。多くの施設において、「Ⅰイ + Ⅱをまず確実に算定する」ことが経営的に最適な選択肢となります。

6. 理学療法士・作業療法士不足時の加算維持戦略
理学療法士や作業療法士の採用が困難な時期に加算を維持するための3つの戦略を以下に示します。
① 看護師・柔道整復師・あん摩マッサージ指圧師の機能訓練指導員化
•既存人員の役割再配置により、機能訓練指導員の要件を満たします。
•個別機能訓練計画の作成スキルに関する研修が必要となります。
② スポットでの理学療法士・作業療法士活用
•月2〜4回、半日程度のスポット採用により、計画書作成や見直し業務を継続します。
•月額10〜15万円程度の支出で、月額33万円の加算収益を維持することが可能です。
③ 法人内ローテーション
•複数の施設間で理学療法士・作業療法士を共有運用します。
•兼務時の専従要件には特に注意が必要です。
7. 加算算定で陥りやすい5つの落とし穴
個別機能訓練加算の算定において、特に注意すべき5つのポイントを挙げます。
1.計画書の3ヶ月更新漏れ: 期限管理表を活用し、機械的な運用を徹底することで防止できます。
2.LIFE提出忘れ: 月初に固定タスクとして設定し、提出漏れを防ぎます。
3.専従要件の解釈ミス: 他業務との兼務時間が要件に抵触するケースがあるため、厚生労働省の通知を正確に理解することが重要です。
4.利用者・家族への計画説明漏れ: 同意書面を確実に保管し、説明実施の記録を残します。
5.届出忘れ: 機能訓練指導員の配置変更時には、5日以内に保険者への届出が必要です。
これらの5つのポイントは、監査や指導で指摘される事項に集約される傾向があります。

8. よくある質問
Q. Ⅰイ・Ⅰロ・Ⅱの併算定は可能ですか?
A. ⅠイとⅠロは択一(「または」)であり、同時に算定することはできません。しかし、Ⅰ(イまたはロ)とⅡは併算定が可能です。
Q. LIFEデータの提出は誰が行うのですか?
A. 機能訓練指導員、またはその指示を受けた介護職員が入力するのが一般的です。データの正確性に関する責任は機能訓練指導員にあります。
Q. 看護師を機能訓練指導員にした場合、本来業務と両立できますか?
A. 専従時間帯と看護業務時間帯を明確に分けることが必要です。実務上は、午前を機能訓練業務、午後を看護業務といった時間帯分離が現実的な運用方法となります。
9. まとめ ─ 「Ⅰイ + Ⅱ」を確実に取り続けることが収益の基盤
通所介護の収益最大化を目指す上で、個別機能訓練加算Ⅰイ + Ⅱを継続して確実に算定し続けることが最優先課題です。個別機能訓練加算Ⅰロへのアップグレードは、その後の選択肢として検討すべきでしょう。令和8年度(2026年度)介護報酬改定では、個別機能訓練加算自体の単位数に直接的な変更はありませんが、処遇改善加算の再編により、生産性向上やICT活用が介護事業所全体の評価軸として一層重要視されています。このため、加算継続のためには「人員配置の維持」と「書類・LIFE運用の徹底」に加え、**「生産性向上への取り組み」**が不可欠となります。PT/OT不足時にはスポット採用や機能訓練指導員の他職種化で加算収益を守りつつ、ICT導入などによる業務効率化も視野に入れることが、持続可能な施設運営の鍵となるでしょう。
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