リハ職の採用難時代に、常勤を増やさず人員を確保する5つの方法
- リハジョブゴー運営事務局

- 5月30日
- 読了時間: 7分

PT/OT/STの常勤採用は、ここ数年で顕著に困難な状況にあります。求人募集に対する応募の減少、応募後の辞退、さらには内定後の辞退といった課題は、首都圏の整形外科クリニック、訪問リハビリテーション事業所、デイケア、病院など、多くの医療機関・施設から共通して聞かれる声です。
しかし、「採用が困難だから事業を縮小する」という選択は本意ではありません。本記事では、常勤雇用に依存しない人員確保のための5つの具体的な方法と、それぞれの効果的な活用法について解説します。
1. なぜリハ職の採用が難しくなったのか
リハ職の採用難は、複数の構造的な要因が複合的に絡み合って発生しています。
供給側の変化
•2026年時点で、PTの有資格者は合計約24万7000人、OTの有資格者は12万3000人、PTOT合わせて年間約2万人ペースで増加中。
•しかし、有資格者の70%以上が病院・施設の常勤職に集中しており、外部市場に流通する人材が少ない状況です。
•副業が可能な民間企業勤務、自費リハビリ施設、開業独立など、活躍の場が多様化・分散しています。
需要側の変化
•介護・医療の現場において、PT/OTの配置要件が拡大しています(リハビリテーションマネジメント加算、個別機能訓練加算など)。
•訪問リハビリテーション事業所が急増。
•デイケアや回復期リハビリテーション病棟の増床も進んでいます。
経済要因
•物価上昇と賃金上昇圧力により、PT/OTの給与水準も上昇傾向にあります(平均年収430万)。
•病院常勤職に比べて訪問リハビリテーションやクリニックの給与水準との差が縮小し、人材の流動性が低下しました。
これらの要因が重なり、「採用広告を出せば人材が集まる」という時代ではなくなっています。
2. 常勤を増やさず人員を確保する5つの方法
方法①: スポット採用マッチングサービスの活用
コスト: 1日17,000〜24,000円 / 対応速度: 最短当日 / 適した規模: 1日〜の短期的な需要
PT/OTを1日単位や半日単位で手配できるサービス(例: リハジョブゴーなど)を活用します。
強み
•採用面接や雇用契約に関する手間が不要です。
•派遣マージンの半額以下というコスト構造(成果報酬30%程度)を実現できます。
•直接雇用形態であるため、加算配置要件にカウントできるケースが多くあります。
活用シーン
•突発的な欠員に対する即日カバー。
•繁忙日のみのスポット的な増員。
•産休からの復帰までの暫定的な人員運用。
•季節的な需要のピーク期(夏休み・年末年始など)。
「採用ではなく、稼働を発注する」という発想で、人員確保のリードタイムを最短化することが可能です。
方法②: 業務委託契約(個人事業主PT/OTの活用)
コスト: 時給3,000〜5,000円(委託料) / 対応速度: 契約から1〜2週間 / 適した規模: 継続的な部分業務
開業しているフリーランスのPT/OTや自費リハビリ施設運営者と業務委託契約を締結する手法です。
強み
•雇用契約ではないため、社会保険や労務管理の手間が軽減されます。
•特定の業務(評価のみ、装具相談のみなど)をピンポイントで委託できます。
•専門性の高いPT/OTを部分的に確保することが可能です。
注意点
•偽装請負と判断されないよう、業務の指揮命令範囲を明確化する必要があります。
•加算要件の人員にカウントできない場合があります。
•業務委託契約書は法務確認を行うべきです。
訪問リハビリテーションの管理者代行、デイケアの月次計画レビュー、研修講師など、業務の切り分けが可能な領域で有効な手段です。
方法③: OB・OG・潜在PT/OTの活用
コスト: 時給1,800〜3,000円(パート相当) / 対応速度: 声かけから数週間 / 適した規模: 週1〜3日のパート勤務
子育てや介護離職などで現場を離れているPT/OT(=潜在人材)の復職を促す施策です。
具体的な施策
•自院・自施設のOB/OGリストへの再連絡(LinkedIn、Facebookなどを活用した近況把握)。
•出産後の復職を支援する時短勤務制度の整備(週2日・4時間〜の勤務枠設定など)。
•地域の養成校や卒後ネットワークを通じたOG会の開催。
•「子育て中のPT/OT歓迎」と明記した求人条件の設計。
潜在PT/OTは全国で3〜5万人規模と推定されており、特に首都圏では厚い層を形成する母集団です。子どもの送り迎え時間を避けた10:00〜14:00のような時間帯設定は、高い効果が期待できます。
方法④: タスクシフト・タスクシェア
コスト: 既存人員の再配置 / 対応速度: 即時〜1ヶ月 / 適した規模: 組織全体
PT/OTにしか実施できない業務とそれ以外の業務を明確に切り分け、後者を他職種に移譲する施策です。
シフト可能なタスク例
•書類業務(計画書ドラフト作成): 介護職員・事務員が下書きを作成し、PT/OTが署名前にレビュー。
•物理療法の機器セッティング: 看護助手・リハビリ助手が担当。
•集団体操の進行: 介護福祉士・健康運動指導士が担当。
•送迎時の付き添い・観察: 介護職員が担当。
•電子カルテへの実施記録の一次入力: リハビリ助手が担当。
リハビリ助手(無資格)の雇用は時給1,200〜1,500円と低コストであり、PT/OTの稼働率を10〜20%向上させる効果が期待できます。
方法⑤: 複数法人・近隣施設との連携
コスト: 連携実費 / 対応速度: 1〜3ヶ月 / 適した規模: 同地域内の複数施設
同じ法人内の複数施設、または近隣の医療介護法人と協力し、PT/OTをシェアする取り組みです。
具体的な形態
•法人内ローテーション: 法人本部がPT/OTを一元的に管理し、繁忙施設へ派遣。
•業務応援契約: 近隣施設間で業務応援契約を締結し、双方の繁忙時に応援派遣を実施。
•共同採用: 複数施設で1名のPTを共同雇用し、勤務日を分配。
•学会・地域包括ケア会議経由でのマッチング: 地域内でPT/OTの稼働余裕を共有。
地域単位での協力体制は、首都圏よりも地方において機能しやすい施策です。
3. 5つの方法の比較と組み合わせ戦略
方法 | 即効性 | コスト | 安定性 | 加算カウント | 主な用途 |
①スポット採用 | ◎ 当日 | 中 | △(都度) | ○ | 突発・繁忙 |
②業務委託 | ○ 1〜2週 | 中〜高 | ○ | △(要件確認) | 専門業務 |
③OB/OG活用 | ○ 数週 | 低 | ○ | ○ | 定常パート |
④タスクシフト | ○ 即時〜1ヶ月 | 低 | ◎ | – | 業務効率化 |
⑤法人連携 | △ 1〜3ヶ月 | 低 | ◎ | ○ | 中長期体制 |
推奨組み合わせモデル
•短期(1〜2ヶ月): ①スポット採用で一時的な人員不足を補填します。
•中期(3〜6ヶ月): ③OB/OG活用と④タスクシフトにより、業務体制を再構築します。
•長期(6ヶ月超): ⑤法人連携と求人広告を通じて、常勤体制の安定化を図ります。
この組み合わせにより、「採用待ち」による事業の停止期間をなくし、事業継続性を大幅に向上させることが可能です。

4. よくある質問
Q. スポット採用と業務委託の違いは?
A. スポット採用は時間単位の直接雇用であり、業務委託は成果物単位の請負契約です。社会保険、指揮命令範囲、税務処理において相違点があります。
Q. OB/OG活用で最も効果が出やすい施策は?
A. 「過去在籍者への近況メール送付と復職プランの提示」が、最も高いコンバージョン率を示す傾向にあります。退職時の関係性が良好であった人材は、意外にも復職に前向きなケースが多いです。
Q. 5つ全てを同時に進めるべきか?
A. 施設の規模や状況、段階によって優先順位は異なります。まずは①(即効性)と④(コスト効率)を組み合わせ、その間に⑤(中長期的な視点)の準備を進めるのが一般的なアプローチです。
5. まとめ ─ 「採用」に依存しない人員戦略
リハ職の採用難は、短期的な解決が難しい構造的な問題です。だからこそ、常勤雇用にのみ依存しない人員確保のポートフォリオを構築することが、これからの経営において必須のスキルとなります。
スポット採用、業務委託、OB/OG活用、タスクシフト、そして法人連携。これら5つの方法を効果的に組み合わせることで、PT/OTの採用が滞ったとしても、事業の継続性を確実に確保できます。
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